8/23の不安:三島由紀夫主演映画『からっ風野郎』
昨日、Amazonプライムで三島由紀夫主演の映画『からっ風野郎』見てみました。210円かかったかな?
三島由紀夫は映画にも出てたんですね~
三島が目立ちたがり屋だったということがわかる例としてよく引き合いに出されていると思います。実際には自分から懇願したというより業界の方から提案されて制作したようですが。。。。
三島が目立ちたがり屋で自己愛が強かったことは以前記事にも書きましたし、「三島由紀夫と教養小説―『鏡子の家』vs『魔の山』―」という論文にも記載されています。
三島の心身には,現実が実在感をもたないという離人症的な 感覚,生きた現実から離れているという隔絶感,生命感のある生を生きていないという空虚感 がつねにつきまとっていた。三島はこうした空虚感を埋めるものを,他者から注目されるこ と,喝采されること,論議の的になることのうちに求め,時に自作の戯曲や映画化の舞台に出 演し,時にヌード写真集の被写体になり,果ては自衛隊市ヶ谷駐屯地に乱入し,切腹するとい う大事件を引き起こした。(髙山 2014)
上記の現実が実在感を持たない感覚を持つようになった原因は、幼少期に母親ではなく、祖母夏子の手によって育てられたことであるとされています。
※以下ネタバレ含みます。
さて、『からっ風野郎』はどんな映画なのかと言うと、
傾きかけた落ち目な組の二代目ヤクザが敵対する組の殺し屋に命を狙われる中、惚れた女の一途な純情にうたれ堅気になろうとした矢先に殺されてしまうという異色のヤクザ映画である
とのことです(Wikipediaより)。
出所したばかりのところ、ひょんなことから映画館のチケットのモギリの女性、芳江と出会って子供も出来てしまうんですが、敵対するやくざの組に命を狙われ、最後東京駅のショッピング街?で銃撃されてしまうんですね。。。
バッドエンドでしかもいきなり撃たれて死んでしまうので、個人的には尻切れトンボのような印象を受けました。
ただ、思っていたより面白い映画でした。
とくに私みたいな普段やくざ映画に馴染みのない人にとっては面白く観られるのではないかと思います。
お色気シーンもちょっとあったり、やくざの指詰めるシーンったもあったり、ストーリーもわかりやすいので、ちゃんとラハラドキドキ出来ました。
ヒロインの女性もきれいでした。「男はつらいよ」に出てくる妹のさくら(倍賞千恵子)みたいな感じです。
それに丁度60年前の映画でしたので、昔の日本の雰囲気を感じることもできました。
やはり今も昔も変わらんなという風景もありましたし、いつのどこの国の風景なんだというようなシーンもあって時代の流れを感じました。
三島由紀夫について言うと、評判通り大根役者でした。まあ、でも本職は小説家ですし、そこはご愛嬌ということで。。。
もしかしたら共感性羞恥?を感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、私が見た感じだと後半はそこそこうまくできていたと思うので、最初我慢すればあとは楽しめるかと思います。
まあでも三島は粗野な男に憧れていたらしいので、自分がなりたい姿を演じることができて本人はさぞご満悦だったのではないかと思います(映画の中の三島のDVが過ぎる!)。
ヒロインの女性を何度も殴りつけますし、子供ができたら「下そう」といって早速病院へ連れて行ったりほんと乱暴な男です。
お坊ちゃん育ちの三島は本当に対極な男を演じたのでした。
あと気になったのは演技以外だと三島の身体の動きのぎこちなさでした。
やくざ映画につきもののチャカを三島が弄ぶシーンが何度かあったのですが、チャカがまだ身体の一部になっていないことがよくわかりました。
映画の中でも「やくざのくせにビビってるんじゃないか」とか「二代目は度胸がない」とか周りから冷やかしを受けていましたが、あぁ、この二代目は真性のやくざにはなれないなということがチャカと身体の関係から見て取れました。
また、大瓶のお酒をコップになみなみ注いで、一気に飲み干すシーンも何度かあったのですが、栓の抜き方、コップの持ち方、ビールの注ぎ方がなんか違うような。。。。
これがこんな感じだと剣道やボクシングがどんな感じになるかなんとなく想像できます。
まあ、色々言っても私も運動音痴で未だに自分の身体が自分のものになっていないのですが、はやり身体の動きのぎこちない人はいつの時代も一定数いるし、どうにかなるものでもないんだなと少し慰めに似た気持ちを感じました。(歩き方がぎこちない人は生き方も下手っていいますよね)
自分が映画見て思ったことはだいたい以上です。
三島由紀夫、やくざ映画に興味があるかたはぜひご覧になってください。
今日は以上!