アスペのグレーゾーンが不安を書くブログ

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アスペルガーグレーゾーン(仮)の社会人が日々の不安や気になる本について書くブログです。

5/25の不安:マーク・ピーターセン『日本人の英語』岩波新書(その2)

マーク・ピーターセン『日本人の英語』岩波新書

今日も一日お疲れ様でした。

土曜日の続きです。『日本人の英語』後半半分を昨日読みましたので、忘れないように印象に残った部分をメモしておきます。fecunditatis.hatenablog.com

日本人の英語 (岩波新書)

日本人の英語 (岩波新書)

 

 1.時制

 

英語の考え方の特徴は、「時」を気にするところにあり、一方で日本語の特徴は「相」を気にするところにあるとのことでした。以下、引用です。

 どうして英語と日本語との間にこういう違いがでてくるのかというと、いつも「時」のことばかり気にする英語の特徴に対して、日本語は、「時」自体に関して特に気にせず、いつも「相」(aspect)のことばかり気にするからである。それは簡単にいいかえれば、英語にとっては行動と状態の時(the timing of the action or condition)がもっとも大事であるが、日本語にとっては行動と状態の完了の程度(the degree of comletion of action or condition)がもっとも大事なのである。

具体例として例文が挙げられています。

Before I went to Beijing, I studied Chinese.

北京へ行く前に、中国語を勉強しておいた。)

Before I go to Beijing, I am going to study Chinese.

北京へ行く前に、中国語を勉強する予定である。)

英語では、カンマの前半で時制が異なっていますが、日本語ではどちらも「北京へ行く前に、」となっていて、時制を気にしていません。これは日本語は行動の時を問わず、状態にしか着目していないからだそうです(上記の例文であれば、行く前なのか、行った後なのか)。

ということで、その点に気を使って英語を話すべきだとのことでした。

また、過去のある時点から2年間を勉強してきたことを伝える場合、have studied(現在完了)と have been studying(現在完了進行形) とはどのように使い分けるべきかということに関して、行動の鮮明な生き生きした描写がほしいときは、後者のhave been studyingを使うべきとのことでした。

I have been studying intensively for the past two years.

(この2年間、集中的に勉強してきている。)

 

さらに、その状態が継続的な場合は現在完了進行形(未来完了進行形、過去完了進行形も同じ)で書くのがよく、現在完了とした場合は、断続的な場合も含まれるとのことでした。

継続なのか、断続なのかはっきりさせたい場合は、副詞等を用いるのがベターだということです。以下の文章は現在完了を用いていますが、どちらも継続的に2年間であることを示しています。

I have studied for two years altogether.

I have studied for a total of two years.

 

2.制限的用法と非制限的用法・先行詞

 

まだ理解できてません。。。。後日追記予定。

非制限的用法とかここらへんで高校時代に躓いた気がする。

 

3.「特に」「とりわけ」問題

 

日本語で言う「特に・・・」、「とりわけ・・・」と英語で書きたい場合は、"Especially,"と書いてはダメとのことです。これは文法的にアウトだということで、どうしても「特に・・・」と文章を書き始めたい場合は”In particular,”ならOKだそうです。

 

4.AccordinglyとConsequentlyのニュアンスの違い

 

 「したがって、」という意味でよく"Accordingly,"と"Consequently"がよく使われるのを目にするけれども、わずかにニュアンスが異なるとのことです。

accordinglyは"in agreement with"(・・・と一致して;・・・に応じて)という意味が強く以下のような文章に用いるのがよいとのことです(「ある状態に合わせた」というニュアンスがある)。

This instrument is fragile and should be handled accordingly.

(この計器は壊れやすいのでそのつもりで操作しなければなりません。)

He is a former President of the University and expects even now to be treated accordingly by the entire staff.

(彼は元学長であるので、今も職員全員に、それに応じた扱いを受けるのが当然なことと思っている。)

一方、Consequentlyの方は、語源がConsequenceであり、その意味は「結果」や「帰結」であることから、「ある状態の当然の結果として」というニュアンスがあるとのことです。例文としては以下が挙げられています。

Sudden flooding had washed out the roads leading to the research station, and consequently, we were unable to reach it before dark.

(突然の洪水が調査基地へ行く道を洗い流してしまった。したがってわれわれはそこに暗くなるまでに着くことができなかった。)

また、「したがって」から派生して「ゆえに」の意味で用いられる"Therefore,"は一切使わない方がよいとのことでした。

推論の正確さや精密さを示し、特に数学や法律などの形式ばった文章に目立つ言葉である。

 とのことですが、あまりにかっちりしているせいか、表現が大げさになるようです。どうしても"therefore"を使いたければ、カンマを外して文章の中に少し隠すつもりで書くとよいようです。

あまりよろしくない例↓↓

Our first attempt met with failure. Therefore, we revised our approach to the problem.

(われわれの最初の試みは失敗に帰した。ゆえにその問題への接近法を訂正した。)

以下修正した例です。↓↓

Our first attempt met with failure.  We therefore revised our approach to the problem.

(われわれの最初の試みは失敗に帰した。ゆえにその問題への接近法を訂正した。)

 

5.その他接続詞に関する(英語論文を書く際の)注意点

 

  1. "so"は口語表現(日常表現で柔らかい印象を与える)なので、論文等の文章には使わないこと。
  2. "since"と"because"の堅さは論文に丁度よく、そういう意味で自由に使ってよい。ただし、日本語の「〜だから」に相当し、ソフィスティケーションの足りない印象を与える場合もあるので注意すること
  3. "as...."という表現はビジネスレターや政府の宣言等の文章には生き残っているが、科学論文には使わない方がよい。文体上の理由もあるし、since,because以外にwhile(・・・をしながら、・・・と同時に)という意味もあるので、文章が曖昧になる可能性が高い。 
  4. 理由を表すための"for"は文学的表現なので用いない。

 

6.threby, thus, hense

 

threby, thus, henseのニュアンスの違いは以下の通りのようです。

  • threby:学術論文にとてもふさわしい表現。"by this specific action"(この特定の行為によって)と言う感じが強い。
  • thus:"in this general way"(このようにして、こうして)の感じが強い。
  • hense:threbyと同様に学術論文にふさわしい表現。therebyが「ある行動によって」という感じであるのに対し、henseは「ある状態によって」という感じ。

以下例文です(引用)。

The government has promised to eliminate the import quotas on beef, and hense the Japanese consumer may anticipate, for the first time in his life, the opportunity to eat steak at prices within the realm of common sense.

(政府は牛肉についての輸入割当の撤廃を約束した。したがって、日本の消費者は生まれて初めて、ステーキを常識の範囲内の値段で食べられるようになると期待してよい。)

The university has decided to add an aural comprehension section to the English entrance examination, thereby attempting to attract students with more practical language ability. Thus, applicants who have actual experience living in English speaking countries may be expected to have a special advantage.

(その大学は英語の入試にヒアリングを加えることにし、それによって、より実際に使える英語力をもった学生をひきつけようとした。英語圏で実際に暮らしたことのある受験生はこうして特に有利になると考えられる。)

 

7.氏名について

 

Genji Hikaru(光源氏)、Soseki Natsume夏目漱石)のように、family name とfirst name をわざわざ入れ替えるのは日本人だけ。Natsume Sosekiでよい。

 

最後に。。。

きっと読めば"はっと"させられることが書いてあると思います。もともと英語論文を書くために書かれたものなので、これを読んだら英語が話せるようになるわけではありませんが、基本的な文法事項も含めてざっと学べる一冊ではないかと思います。

レベルはどれくらいなんでしょう??初学者でも読めるかとは思いますが、学生時代に2回も読んでおいて内容を全くと言っていいほど私は覚えておりませんでしたので、そこらへんは自信がありません。。。

冒頭の文章とあとがきで著者の方が自分の日本語を卑下していますが、全くもってそんなことはないと思います。おそらく日本人の謙遜スタイルを真似たのかな?と思います。

上から目線になってしまい恐縮ですが、本書の日本語は正確に書かれていると思います。よくこんなに書けるなと。恐らく校正が入っているのだと思いますが。。。

痒い所に手が届くような表現が多く、細かいニュアンスが正確な日本語で表現されているので、読んでいて勉強になります。

また、漢字、ひらがな、カタカナ、アラビア数字、アルファベットが入り乱れていてぱっと見の字面はすごいことになってます。

改めて言語について考えるきっかけになるかもです(そんな人いないか)。

これを読めば740円+税で豊かな時間が過ごせると思います。おすすめしておきます。