アスペのグレーゾーンが不安を書くブログ

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アスペルガーグレーゾーン(仮)の社会人が日々の不安や気になる本について書くブログです。

6/17の不安:品川裕香『「働く」ために必要なこと―就労不安にならないために―』ちくまプリマ―新書

『「働く」ために必要なこと』斜め読みしました。

 ちくまプリマ-新書です。若者向けに創刊されたレーベルですね。

Wikipediaによると「プリマー(primer)が「初歩読本、入門書」を意味する通り、ヤングアダルトを対象とした新書である。 」とのことです。

昨日深夜徘徊をしながら、生きづらさを感じている学生のために、就職についての記事を書こうと思い至りました。

それで、就活当時の自分は何を考えていただろうかと、当時読んでいた本を手に取りました。正直当時もあまり読み込んだ記憶はありません。ただ、何かの参考になるかもしれないと就職してからもずっとそばに置いていたのでした。

本書には「発達障害」などといった言葉は一切出てきません(私が目を通した限りでは)。しかしながら、就労不安定となったケースに登場する人物の描写には、発達障害を匂わす記述が目立ちました。

実際、著者のプロフィールには以下のような記載がありましたので、ある程度意識して書かれたところはあると思います。

教育ジャーナリスト。扶桑社の編集者を経て独立。いじめ、不登校、虐待やLD、ADHDアスペルガー症候群など特別支援教育、矯正教育に詳しい。

恐らく、発達障害であることに自覚がない中高生や大学生向けに書かれているのだと思います。なので、すでに自覚があってそれなりの自己分析ができている方にとっては有利となる情報は多くないかもしれません。

それでも、他の人の状況や教育現場、大学の就職支援の現状については勉強になるかと思います。気になる方は手に取ってみて下さい。

以下に、気になった箇所、、、斜め読みですので、ある程度目に留まったところだけ掻い摘んでコメントしていきます。

 

気になった箇所①

序章によく考えれば当たり前のことが書かれています。

 これらの調査結果が意味することは何かというと、

「仕事に定着したいなら、学校を卒業するときに正社員になり、その会社で四年以上働いて経験を積んでから離職転職を考えたほうがいい。就職しても仕事や会社が合わなければさっさと辞めて次を探せばいい、とか、いったんフリーターやニートになってやりたいことを見つけてから正社員になればいい、という方法は未経験者には現実的にかなり無理があり、基本的にその後の就職は困難を極める」ということ。

それでもやはり就職して3年以内の流動率は高いですし、一度就職したならまだいい方で、卒業後にブランクが空いてしまう方も一定数いるようです。

私は幸いにも一つの会社に拾って頂き、最悪ここの会社で人生を全うしても悪くはないと思えているので、幸せな方だと思います。

せっかく就職したのに迷いが生じてしまったら辛いですよね。それがいい方向に進めばいいですが。。。

 

気になった箇所②

会社の上司が「今頃の若者は。。。」となって、新人が「会社が悪い」と言って、お互いの言い分が噛み合わない現象については、以下のような分析がされていました。

社会人になる準備ができていない若者たちが、学校を出て企業に雇われると、

→企業は、彼らを戦力になるよう育てようと考えるが、想定外のところでトラブルが続き、

→結果的に彼らを持てあますことになってしまい、

→最終的には「若者がデメリットを受ける」ことになる、

なるほど。。。という感じですね。「社会人になる準備ができていない若者」はグサッときます。私個人としては若者と上司とでは生まれた年代が違って価値観が異なるので、多様性ということで多めに見てほしいなって思います(甘えですか?)。

 

気になった箇所③

「社会人になる準備ができていない若者」に関連して以下のような記載も見かけました。大学のキャリアセンターの方のコメントです。

「大学生の就業力教育支援事業そのものを否定するつもりはまったくありません。ですが、国立大学で『「オトナ」力の養成』だの、『自ら考え判断できる』だの、『巣立ちプログラム』だの言っていることに、学生はもちろん、保護者も疑問を思わないことに、僕は違和感を覚えるのです。こういった力は最高学府に行く前の段階で身につけておくべきことです。(以下、略)」

 大学が就職予備校となっていること、大学に入る前に人としての土台ができていないことの原因は小学校・中学校・高校のキャリア教育にあるのではないか?ということでこの後の議論が進められていきます。

しかし、私はこれは今の時代しようがないことなのではないかと思います。

一つには、近年徐々に平均寿命が延びていて人生が冗長になっていることが、人としての土台形成が大学生の年頃までに不十分になっている理由として挙げられると思います。

www.nikkei.com

寿命が短い時代ほど老いるのは早く、その分精神的にも老いるスピードも速かったとすると、寿命が長くなった現代は、ただ人生が間延びしていて、早くに精神的自立を果たすことが困難になってきている時代なのではないかと考えられます。

また、下記書籍『「若者」をやめて、「大人」を始める』では、現代は大人になることが個人の自由意思に委ねられた時代であると書かれています。

「若者」をやめて、「大人」を始める 「成熟困難時代」をどう生きるか?

「若者」をやめて、「大人」を始める 「成熟困難時代」をどう生きるか?

  • 作者:熊代亨
  • 発売日: 2018/02/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 郊外や都市部の大半では、地域社会への参加は昔のような強制力を持っていません。通過儀礼もなくなってしまいました。一応、成人式という通過儀礼”らしきもの”は残ってはいますが、成人式への参加は個人の自由に委ねられていますし、参加したからといって、周囲の見る目や自分の自覚が変わる人は一握りにすぎません。

 地域社会という、人を強制的に「大人」にしてしまうシステムが希薄になったことによって、私たちは、好きなように歳を取れるようになりました。

そして、もう一つ、そもそも大学入学の年齢が早いというのも理由として考えられます。

昔の大学制度については詳しいことは全くわかりませんが、明治時代は大学入学の歳がもっと遅かったのではないでしょうか。

青春小説の金字塔である夏目漱石著『三四郎』は三四郎が大学に入学して上京するところから物語は始まりますが、この時三四郎は23歳です。以下、序盤のシーンです。

三四郎

三四郎

 

  三四郎は宿帳を取り上げて、福岡県京都郡真崎村小川三四郎二十三年学生と正直に書いたが、女の所へ行って全く困ってしまった。

現代であれば、大学を卒業して働いている年齢です。

まあ、時代が時代なので、この頃の大学生は本当のエリートで今とは状況が異なるのかもしれませんが。。。

そんなわけで、現代では大学生の年齢で十分に人格形成することが追い付かず、大学が就職予備校となってしまうのもしょうがないことなのではないかと思うのでした。

 

ちなみに。。。

ちなみに、大学が就職予備校となっているそもそもの原因とされた中高生のキャリア教育に関しては、以下のようにコメントされています。

 社会で不適応を起こさないためには何が必要なのかという認識は、ほぼ全員があやふやでした。コミュニケーション能力や協調性などをあげる人はそれなりにいましたが、その定義も千差万別。

(中略)

 それよりも、たいていの中高生の関心は、その職業に就くために資格をとらなければならない、英会話をやらなければならない、いい大学に行かなければならないなど、目先の技術やノウハウをどう獲得するかにあったのが印象的でした。

これには納得しますし、教育制度にも問題があると思います。最近、学校で求められる能力と社会で求められる能力が違い過ぎるというようなツイートが話題になっていましたが、私も教育制度による被害者の一人だと思っています←

あれこれ言っても埒があかないので、自分で自分を教育していく他に仕方がないのですが。。。

本書では、自立するための「武器」を獲得しよう!ということで、一つの解決案が示されています。その「武器」とは何かというと「人とつながる力」です。

。。。。

身も蓋もないというか。。。それで悩んでいるので、わかってるわ!!!という叫びが聞こえてきそうですが、結局本当にそれに尽きるのかもしれません。

私は大学は個人があらゆる社会実験を行う場だと考えています。が、この社会実験というのは「社会」という言葉がある通り、人と繋がらないと実験できないんですよね。

だから、社会性がないと(1対1の繋がりはふれ合いで、3人以上の繋がりが社会です。)、大学というポテンシャルを活かしきれないと思います。

だから入学前に社会性を身につけるというのは確かにあることなのかもしれません。

私は今やっと人との繋がり方がぼんやりわかってきたくらいで、大学のポテンシャルは活かしきれませんでした。それが心残りです。

ですから、今大学入学前のお子さんをお持ちの親御さんはそこら辺を念頭に教育して頂きたいなと勝手ながら思っています(何様)。

今後、私の経験も踏まえて、じゃあ、結局アスペルガーってどんな仕事に就いたらいいのか??みたいなところで記事を書けたらいいなと思っています(一つの業界、一つの会社しか知りませんが)。

働くこと、社会との繋がりに関してはこんな記事も書きました。何かの参考になれば。

fecunditatis.hatenablog.com

 今日は以上!